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不思議の国御魯西亜奇譚集

ニコライ・スタンブラ『厳戒武装指令』

2023.05.14 ニコライ・スタンブラ『厳戒武装指令』 2003 MARSH-BROSOK
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 孤児院で育った若者サーシャが、落下傘部隊のエリートに憧れ、入隊する。親友とともに配属されたのは歩兵部隊だった。
 戦地は「野蛮人の異教徒たち」が跋扈するチェチェン山岳地帯。
 隊内に敵の内通者がいて、待ち伏せに遭い、サーシャと親友は捕虜になる。チェチェン武装組織は身代金を要求するが、二人はあっさり脱出を成功させる。親友を地雷原で喪いつつも、サーシャは無事に帰隊できた。
 次の戦闘で、サーシャはチェチェン組織の部隊長ハサンを捕虜にする。
 ロシア軍の部隊長とハサンは、かつてのアフガン侵攻で戦友同士だった。二人の再会場面において、ロシアの「正義」とチェチェンの「悪」が強調されるのは、イデオロギー映画の定番というところ。とはいえ、最も高揚するエピソードだ。しかし、ハサンもえらく簡単に脱出する。ロシア軍の内通者の協力があったからだが、あまり簡単すぎる脱獄シーンは???。どちらの軍隊もルーズだった、ということか。
 ハサンは組織の同志に粛清されてしまう。武装組織のモラルの欠如を訴えるシーンだが、何かわざとらしい。
 手柄を立てたサーシャは親友の葬儀のために帰郷し、彼の妹マーシャとの淡いロマンスにひたる。若者よ、祖国のために命を捧げよーー。青春ものの付け足しに、高らかな教訓を残して物語は終わる。
 国策戦争映画の初期に属する作品といえるか。

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