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不思議の国御魯西亜奇譚集

ヴェラ・ストロジェーヴェ『オペレーション:マリア』

2023.03.05 ヴェラ・ストロジェーヴェ『オペレーション:マリア』 2021
MARIYA
 第二次大戦下の1941年、ナチス・ドイツ軍からの激しい攻撃にさらされるモスクワ。首都陥落を何としても阻止したいスターリンは、大衆の支持を得る霊能者から“チフヴィンの生神女”というイコン(聖像画)をモスクワに運べば持ちこたえるという助言を受ける。ドイツ軍に支配されている町にあるイコンを奪還するべく、NKVD(秘密警察)の女性エージェント・マリアにその任務が課される。マリアは神を信じず、国家の教えが全てと信じる優秀なエージェントだった。
 マリアを含む7人の特別部隊が編成され、敵支配地に潜入する。教会からイコンを奪うことに成功するものの、ドイツ軍との激しい銃撃戦によって部隊はほぼ全滅してしまう。生き残ったマリ
アと護衛役の軍曹は、ドイツ軍に追われながら脱出の機会を探っていた。そんな中、2人の前にウラジーミル神父という男が現れ、町を脱出させる代わりにイコンを渡すよう取引を持ちかける。この神父は敵か味方か?ドイツ軍の追跡が激しくなる中、マリアには最大の危機が迫ろうとしていた。ーー彩プロより
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 霊能者のお告げを信じたスターリンによる極秘指令。粗末なイコンの奪還に何の意味があるのか、作品のなかで説明されることはない。
 つまりは、意味のない作戦に命を賭けたという話が主眼なのか。
 ヒロインの過去。粛清された両親。ただ任務を遂行するだけの女エージェント。
 任務が不条理であるほど、ロシア秘密警察の女の「非情」さも際立つ。西欧風の女暗殺者がつくりものだとすれば、マリアのリアルは旧ソ連の歴史に深くかかわっている。
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テーマの著者 Anders Norén