2022.10.28 アンドレイ・ズビャギンツェフ『エレナの惑い』 2011 ELENA
長編デビュー作「父、帰る」で高い評価を受けたロシアの俊英アンドレイ・ズビャギンツェフ監督が、富豪老人の後妻に収まった女性が、遺産相続を巡ってきれい事では割り切れない心の葛藤を抱えていくさまを冷徹に見つめたヒューマン・ドラマ。2011年のカンヌ国際映画祭ある視点部門で審査員特別賞を受賞。
看護師のエレナは、病院で献身的に世話をしたのが縁で初老の資産家ウラジミルと再婚する。しかし、裕福で一見何不自由ないその結婚生活は、従順な妻を演じるエレナにとっては家政婦と何ら変わらない愛のない暮らしでしかなかった。そんなエレナが気に掛けているのは、前夫との間に出来た甲斐性なしの息子とその家族のこと。エレナが彼らを経済的に援助することを、夫のウラジミルは快く思っていない。そんな中、心臓発作で病院に担ぎ込まれたウラジミルは、疎遠だった娘のカテリナを呼び寄せ、ほどなく2人は親子の絆を取り戻す。やがて死期を悟ったウラジミルは、遺言書を作成すると言い出す。それを聞いた途端、エレナの心は不安でいっぱいになっていき…。〈allcinema〉onlineより
後妻業ミステリの題材だが、その方面でのドラマ化は淡白。作者の関心外のようだ。
疑われないで済んだという結末も、何だか未消化に終わる。
ズビャギンツェフ印の荒涼たる風景も、ほとんど出てこないのは残念であった。
2022-11-02