2022.09.28 『バトル・フォー・スターリングラード』(祖国のために) 1975
ОНИ СРАЖАЛ ИСЬ ЭА РОДИНУ
THEY FOUGHT FOR THEIR COUNTRY
監督・脚本 セルゲイ・ボンダルチュク
主演 ワシーリー・シュクシン
原作 ミハイル・ショーロホフ
(『祖国のために』 昇曙夢訳、角川文庫、1956年)
アカデミー外国語映画賞受賞作「戦争と平和」などで知られる旧ソ連の名匠セルゲイ・ボンダルチュクが、ノーベル賞作家ミハイル・ショーロホフの小説を映画化した戦争スペクタクル。独ソ戦争下の1942年、夏。ソ連赤軍はドイツ軍の猛攻に押され退却しつつあったが、そのまま諦めようとはしなかった。農民出身の兵士ピョートルたちは上官ポプシチェンコ曹長らの指導の下で不屈の戦いを続け、数々の苦難を乗り越えていく。ボンダルチュク監督も兵士役で出演。「惑星ソラリス」の名カメラマン、ワジーム・ユーソフが、戦闘シーンを臨場感たっぷりに活写した。「セルゲイ・ボンダルチュク生誕100周年記念特集」(20年9月18日~、東京・アップリンク吉祥寺)で上映。
ーー「映画.com」より
1972年製作/158分/ソ連
原題:They Fought for Their Country
配給:パンドラ
日本初公開:1981年11月21日
ソ連製戦争映画の「記念碑」。
良くも悪くも。
祖国愛・英雄的献身・劣悪な戦況の逆転勝利。
この三点セットのハット・トリックは、最近のロシア映画でも健在。ボンタルチュク亡き後は、息子も娘もいる。
戦闘シーンは、敵ナチスの飛行機・戦車攻撃vs塹壕に隠れる歩兵隊の激戦。
勝てるわけない、と思わせるのだが。映画では、戦線は一進一退をつづけ、結果的には勝利するのだ。
前線の激闘ばかりが続くのではなく、戦闘の合い間に、牧歌的なエピソードがいくつもはさまれる。この極端な落差にも違和感がのこる。ショーロホフ流の「人民」讃歌?
時代性もあるから、劣勢を人間的資源の物量によって跳ね返すといった「大祖国戦争」への批判的観点は、欠片も出てこない。戦争の非合理さ一般への嘆きとして表明されるだけだ。
ロシア人の戦争観を映す資料ではあるだろう。
体制側が「人的損耗」に無頓着であるのは当然としても、人民の側もまた「如何なる犠牲も厭わない」ことを神の摂理のように受け入れてしまう。この非合理礼賛は日本人の一面とも通じているので怖ろしい。
Sergey Bondarchuk in Oni srazhalis za rodinu (1975)
2022-09-29