2024.09.19 『殺人鬼の存在証明』 2021
KAZN THE EXECUTION
これが長編デビューとなるロシアの新鋭ラド・クヴァタニア監督が、ソ連時代に実在した有名な連続猟奇殺人鬼を題材に、刑事と犯人の攻防をスリリングに描き高い評価を受けたクライム・スリラー。ーーallcinema.onlineより
ソ連時代最後の10年を騒がした56人殺しチカチーロが題材となっているが、話はべつの作り。
10年、犯人を追いつづけ「アタマがおかしくなりかけている」捜査班のボス、とにかく「誰てもいいから」犯人をでっちあげろと命令する上層部。誤爆と自白させるための拷問の連続……と。
これは、不条理コメディ(あるいは、出来そこないのホラー)なのではないか、と戸惑わされるような展開。時制をシャッフルする構成は、なかば成功しているとはいえ、余計にわかりにくくなっている部分もある。
だが、(ソ連にも存在した)シリアル・キラーを追う警察ドラマの定石はふまえているし、ラストには驚愕のドンデン返しも用意されている。意味不明の挿話やショットも混じるけれど。
しかし、何もかも、ロシア式。
この耐えがたい暗鬱さは、地上のどこの国からも発信されてこないだろう。