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不思議の国御魯西亜奇譚集

キリル・セレブレニコフ『インフル病みのペトロフ家』

2023.03.13 キリル・セレブレニコフ『インフル病みのペトロフ家』 2021
PETROVY V GRIPPE
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  「LETO -レト-」のキリル・セレブレニコフ監督が、ロシアで数々の賞に輝いたアレクセイ・サルニコフのベストセラー小説を映画化した不条理コメディ。インフルエンザの高熱で意識朦朧の主人公とその家族が次々と遭遇する奇妙な体験を、驚異の長回しショットを駆使して描き出していく。主演はセミョーン・セルジン、共演にチュルパン・ハマートヴァ、ユリア・ペレシルド。2004年のロシア、エカテリンブルク。インフルエンザに罹り高熱に浮かされながら街を彷徨う自動車整備工のペトロフ。一方、図書館司書として働く元妻のペトロワ。彼女もインフルエンザに苦しみ、ふとした拍子に思わぬ殺意を芽生えさせる。そんな中、やがてペトロフの意識は、まだソ連だった子ども時代へと遡っていくのだったが…。ーーallcinema.onlineより
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 ソ連時代後期(1977年)とプーチン独裁時代初期(2004年)がごっちゃになり、おまけに、ファンタジーとリアルが継ぎ目なしに連続する。
 ブニュエル風の傍若無人。
 大晦日に霊柩車で運ばれる死体が起き上がって、家にむかって彷徨い歩く。泥酔したあげく死体の身代わりにされかけたインフル病みのペトロフおやじのイメージのなかで、現在と過去(革命60周年の祖国)、現実と妄想が目まぐるしく回転していく。
 蘇る死人とは、何の譬喩なのか。
 家に帰ろうとするゾンビの蹌踉めき歩きにロシア語ラップが重なるラストが、また素晴らしい。
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テーマの著者 Anders Norén