2023.01.07 パトリック・ヴェガ『エクソダス 爆弾に取り憑かれた男』 2021 PITBULL – EXODUS
《爆弾魔 VS ベテラン刑事!過去に因縁を持つ二人の対決をスリリングに描くクライム・アクション!
かつて殺人課の刑事ヤツェクが仕組んだ工作により強制逮捕された爆弾作りの天才ノーズ。それから長い年月が経った。ヤツェクもノーズも相手のことを忘れてはいない。刑務所から出所したノーズは、ギャングのボスの座にまで昇りつめていた。この因縁の二人が再び邂逅したのは正に思わぬ展開だった…。ノーズにとって絶好の復讐機会が訪れる。爆弾魔に狙われたヤツェク、そして愛する家族の運命は―?
幼少期から爆弾を作っていた孤独な天才少年が裏社会へ堕ちていく姿を描く!
一人の男が幼少期から青年期を過ごし、やがて裏社会へと堕ちていく姿を描く。不遇な生い立ちで、孤独に爆弾を作ることだけが唯一の心の救いだった少年は何故ギャングの道へと進んでいったのか?一人の男の成長を追いながら、彼が裏社会へ足を踏み入れ、ポーランド国内を恐怖に陥れた連続爆弾魔になっていく過程を生々しくリアルに描いた血なまぐさい東欧ノワール!》ーー
公式サイトでは、上記の紹介ではあるが。
話の本筋は、爆弾男がボスに成り上がってからの二人の対決。
警察特捜隊のトップに立ったヤツェクの息子がノーズ邸に強盗に入ったところから、因縁の対決が再燃。ヤツェクは、二人の運命を『出エジプト記』になぞらえて任務を果たそうとするが……。
『聖書』からの引用との関連は、どうにも面倒でわかりにくい。
どっちがファラオで、どっちがモーゼなのか。それとも、二人の対決とは、どちらもがロシアの影でしかないという達観なのか。
爆弾にしろ麻薬にしろギャングスターへの「支援」はロシアから持ちこまれる。警察は、ロシアン・マフィアの戦闘部隊をを利用し、ギャングスタ一味を壊滅させ、利用しつくした後、彼らを殺戮する。そこまでやるか? というのは、さておき、この挿話も『エクソダス』のタイトルにかかるんだろう。
ロシアがあまりにも近い。
ポーランド風の底無しの冥さ。たえず神に問いかける絶望感はロシアン・ノワールと共通するものがある。
2023-01-08