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不思議の国御魯西亜奇譚集

『デイ・ウォッチ』

2022.10.25 『デイ・ウォッチ』 2006 DAY WATCH  DNEVNOY DOZOR
監督:ティムール・ベクマンベトフ
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 ロシア国内で大ヒットとなった話題のダーク・ファンタジー「ナイト・ウォッチ/NOCHNOI DOZOR」の続編。現代のロシアを舞台に、均衡が崩れつつある“光”と“闇”の勢力の対立の中で、人類の危機を救うため奔走するナイト・ウォッチ(闇を監視する光側の番人)の主人公アントンの活躍を描く。
 長きにわたって激しく対立してきた“光の異種”と“闇の異種”は、互いの絶滅を回避するため休戦協定を結び、以来両勢力は、闇を監視する“ナイト・ウォッチ”と光を監視する“デイ・ウォッチ”の活動で微妙な均衡を保ってきた。異種に目覚め、光側についた青年アントンもナイト・ウォッチとして仲間たちと共に闇の行動に目を光らせていた。しかし、強大なパワーを秘めた2人の異種──アントンの息子イゴールとアントンが助けた女性スヴェトラーナ──が目覚め、それぞれ闇の側と光の側を選択したことで、両勢力の均衡が崩れ始める。この機に乗じて闇の勢力は休戦協定破棄を狙い、アントンは偉大な2人の異種の間で苦悩を深めていくが…。〈allcinema〉onlineより
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 アントンに協定破り(闇のメンバー殺し)の冤罪がかぶせられ、追われる身となる。光の頭目は、彼の身体を仲間の女に変身させて逃がすが……。といった具合に、超能力の設定はかなり大らかだ。光と闇の決戦となるラストも、ビルが倒壊し、地面に亀裂が走る大パニックの連続。意味不明もおかまいなしのロシア式か?
 第一部『ナイト・ウォッチ』では、アントンが息子を闇の頭目に奪われるところで幕となった。第二部では成長したその息子が闇の後継者として「父親殺し」を演ずる。このように、個々のドラマは強烈であっても、ファンタジーの勢いに呑まれてしまう。
 運命は「自分のものだ」というメッセージだけは聴き取れる。闇と光。何の比喩なのかーー。ロシアの観客にはわかりすぎる、ということか。
 これは、原作を探し出して、いろいろ精密化するほかない問題だ。幸い、二作とも翻訳がある。
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テーマの著者 Anders Norén