2022.10.10 『裁かれるは善人のみ』 2014 LEVIAFAN
「父、帰る」「エレナの惑い」のロシアの鬼才アンドレイ・ズビャギンツェフ監督が海辺の小さな田舎町を舞台に、欲深い権力者の餌食となり人生を狂わされていく一人の男と彼を取り巻く濃密な人間模様を重厚なタッチで描いた衝撃の人間ドラマ。カンヌ国際映画祭脚本賞、ゴールデングローブ賞外国語映画賞はじめ数々の映画賞を席巻した話題作。
モスクワから遠く離れた静かな入江の町。この地に暮らし、祖父の代から続く小さな自動車修理工場を営むコーリャ。若くて美しい妻リリアと前妻との息子ロマと3人で、慎ましくも満ち足りた生活を送っていた。そんなある日、町に開発計画が持ち上がり、彼の土地を市が収用することに。到底納得のいかないコーリャは、市を相手に訴訟を起こす。市長ヴァディムの権力を笠に着た横暴に対抗すべく、モスクワから親友の弁護士ディーマを呼び寄せ、徹底抗戦の構えを見せるコーリャだったが…。〈allcinema〉onlineより
アンドレイ・ペトローヴィチ・ズビャギンツェフ (露:Андрей Петрович Звягинцев, 英:Andrey Petrovich Zvyagintsev, 1964年2月6日 – )
この作品では、善と悪の問題(同時代ロシア)が中心テーマを占める構成となっているが。ーー善良な者が被害者となり、悪の権力が栄え宗教は無力だ。しかし、社会性は後景にすぎない。リヴァイアサンの巨大な骨さながらに、打ち捨てられた地方の寒村。人間の力はおよばない。ドラマは未完結。
ズビャギンツェフは、リリアの死を「謎」のまま、投げ出す。これは前作『ヴェラの祈り』の結末の別解釈であるようにもみえる。
2022-10-12