2022.10.08 『父、帰る』 2003 VOZVRASHCHENIYE
2003年のヴェネチア国際映画祭で絶賛され最高賞の金獅子賞と新人監督賞をダブル受賞する快挙を果たしたアンドレイ・ズビャギンツェフ監督による静謐で衝撃的な人間ドラマ。12年ぶりに突然帰郷してきた父親を前に、事情も呑み込めず戸惑うばかりの兄弟の姿を、謎を秘めた緊張感溢れる語り口で綴り、親子の間の絆や葛藤を鮮やかに描き出す。なお、本作撮影終了後、ロケ地だった湖で兄アンドレイ役のウラジーミル・ガーリンが不慮の事故で溺死する不幸な出来事があった。〈allcinema〉onlineより
12年ぶりの「父帰る」。製作年からその年月を巻きもどせば、ソ連邦解体の時と重なる。不在の理由をいっさい口にせず、再会した息子たちをひたすら過酷にあつかう父。
ドラマとしての「わかりにくさ」は、この一点にかかっている。歓迎されない「帰ってきた父」とは何のメタファーなのか、当時の観客には自明だったのだろう。
2022-10-09